映画観てますか?アヒャッポゥです。
ドラゴンクエスト YOUR STORY。観てきました。
とりあえず観終わった後はこんな感じでした。
この感情はちゃんと文に残しておくべきだなと思い、筆を取った次第であります。
世間ではおおよそ酷評されていますね。
僕も色々思う所はありますが、僕は作品を加点方式で楽しむことにしています。
その僕的には10点満点で6点くらい
ただし、日本に古来から伝わる伝統の減点方式を採用した場合0点で済めば御の字、といった感じになるでしょう。
酷い場合は原作ごと嫌いになる恐れすらあるんじゃないかな
なお、僕はあまり映画は見ないタイプです。
いちドラクエファンの根暗オタク視点からの評価となり映画レビューとしては拙いものになることをお許しください。
はじめに
この映画はドラクエ5既プレイ者向けに作られてます。
ゲームは知らないけど話を知りたい人には一切おすすめできない内容です。
端折りすぎて意味分かんないってのもそうなんだけど、そもそもこの映画はドラクエ5の映画化ではなくドラクエ5を当時リアタイした現代日本人の映画なので、全力で蚊帳の外に放り出されます。
「パパが昔好きだったゲームだぞ~」とか言いながら親子連れで見るのもオススメしません。
映画の内容
まず、この映画の流れがどんな感じだったのか書いておきます。
自分、ドラクエ5の記憶は4,5歳くらいの頃なのでめっちゃおぼろげ
序盤(子供時代)
開幕ファミコンフォントで天空の剣伝説のナレーション。
SFC版の画面を使ってリュカ生誕~レヌール城のおばけ退治まで超ダイジェスト。体感2分
(リメイクから実装されたはずのフローラとの出会いシーンがあったので単に流用したわけではなさそう)
未来の自分にオーブをすり替えられる所からCGで本編スタート。
ラインハット到着、ヘンリーと初対面で挨拶している最中にヘンリーが拉致される
画面切り替わって即ジャミ&ゴンズ戦。
パパス死亡。「奴隷として一生幸せにくらしなさい(ゲマドアップ)(マジキチスマイル)」
→「うわー!(十年後)」「またあの夢か?」
ここまで多分10分前後。
中盤(青年時代)
光の教団大神殿。特に揉め事もなく即脱走。
樽詰めで滝に流されて麓にあるセントベレスの町まで。(原作に町なんてあったっけ?)
バーを開きつつ光の教団の調査をしているプサンに助けられてラインハットへ帰国。
父の遺言で母を探すためヘンリーと分かれ特に滅んでないサンタローズへ。
自宅の地下室でパパスの手紙と剣を入手。
サンチョとも再会しサラボナの富豪ルドマンが天空の剣を見つけたことを聞く。
一人旅でサラボナへ。ダイジェストで経験を積みつつスラリンを仲間に、ゲレゲレと再会し超速理解で仲間に
サラボナ到着。町を襲う怪物ブオーンを倒したものに一人娘フローラと結婚する権利を与えるお触れが出ている。
ルドマン、フローラと接触。フローラとは幼馴染だった設定で生きていて嬉しいと言われる。
天空の剣がある宝物庫がブオーンに持ち去られていたため、流れでブオーンと戦うことに。
フローラが結婚に乗り気な事に舞い上がり勢いで凸って一乙。
酒場に丸焦げで帰還。
ビアンカと再開して一緒にブオーンと再戦。戦闘中に天空の剣を見つけるも抜けず自分が勇者でないことが判明。
ブオーン撃破。魔物使いの能力で改心させる。
サラボナに戻りビアンカに背中を押されてフローラにプロポーズ。
宿に戻ると占いババに「本当の心を隠している」とか言われて怪しい薬を渡される。
飲んだら実はビアンカが好きだったことがわかり翌日ルドマンへ結婚の約束を取り下げに。
ルドマン激怒「なんて無礼なやつだ。顔も見たくない」「だが勇者を探しているのだろう?天空の剣は持っていけ。二度とフローラの前に現れるなよ」
酒場でビアンカにフローラをフッたことを報告。→大衆の面前でビアンカにプロポーズ。
プロポーズを見届け酒場からこっそり去る占いババが路地裏でフローラに変身。
ビアンカへの好意を見抜いていたフローラの芝居だった。
ビアンカとサンタローズへ帰還。妊娠→出産を30秒くらいで済ませる。子供は男の子1人
ゲマ一味がサンタローズに襲来。息子をサンチョに託し迎撃するもリュカは石像にされビアンカは攫われる。
大神殿の魔界の門前でバリアを貼って引きこもる母マーサ。門を開くには天空人の呪文が必要なのでゲマは天空人の末裔であるマーサに口を割らせたい
同じく天空人の血を引くビアンカを連れてきて念話でマーサを説得するよう脅すゲマ。普通に拒否られてビアンカも石にする。
終盤(親時代)
8年経過。ストロスの杖を入手した息子の手によりリュカ復活。
追手のギガンテスと戦う息子が天空の剣を抜き伝説の勇者であることが判明。
マーサとビアンカを助けるため大神殿に乗り込む計画を立てる。
麓の町にマスタードラゴンが人の姿で潜伏している事を聞く。
セントベレスの町でプサンに接触。
ドラゴンに変身するにはドラゴンオーブが必要だがなくしたので妖精の力を借りることにする。
妖精の国へ。門番のキラーマシン3体を退け女王の手助けで過去に戻り子供の自分からドラゴンオーブを入手。
大神殿突入。手数で押され気味の所にヘンリーとブオーンが船ごと乱入して加勢。ジャミとゴンズを一撃で葬り(合計2秒)ゲマとの決戦へ。マーサの結界が破られリュカの前で死亡。
ゲマ撃破。最後の力でマーサの力を奪い取り魔界の門を開いて力尽きるも息子が天空の剣を投げ入れて再度封印
・・・するところで世界がフリーズ。
何が起きたのか混乱するリュカの前に魔界の門からミュウツーの顔をしたカオナシみたいなのが降りてくる
「お前がミルドラースか!?」
「ゲーム内のコードではミルドラースに擬態している。私はこの世界に送り込まれたウイルスだ」
「この世界はゲームだ。お前は記憶を一時的に消去してVRの世界で遊んでいるプレイヤーにすぎん」(スーファミのカートリッジを出しながら)
「信じられないかね?マッピングオフ、グラビティオフ、コリジョンオフ」(白ハゲ化する背景とかビアンカとか)
「私を作った人間はお前のような奴が嫌いらしい。メッセージがある。『大人になれ』」
「さぁ現実の世界に戻るがいい」
「やめろー世界を壊すなー」
現実世界の回想。VRドラクエ5のスタッフに毎回ビアンカ選んじゃうからフローラと結婚するよう自己暗示したり幼少期スキップ、妖精の国にキラーマシン配置などのオプションを注文するリーマンの自分。
「たとえゲームでも僕にとっては大事な本当の思い出なんだ!壊させやしない!」(ドン!)
スラリン(CV山寺宏一)
「ずっと黙っていたが私はゲームマスターだ!ワクチン(ロトの剣型)を用意してある!奴を倒すんだ!」
「うおーーー!!!!!!」
「なにーーーーーー!!!!!!!!!!」
動き出す世界
「お父さん、何があったんですか」
「ミルドラース、恐ろしい敵だった」
「帰ろう!サンタローズへ!」
(スタッフロール)
どうしてこうなった?
というわけで本題です。
まぁ、うん。コレが荒れないワケないよね・・・
サブタイトルがYOUR STORYの時点でメタネタ挟んでくるんだろうなーってのも承知してたからこういうの挟んでくるのは別によかった。
でもさぁ・・・これは真顔になるでしょ。やり方が雑すぎる
いや監督がやりたかったことも一応わかるよ?ただゲームを映像化するだけじゃ絶対に尺が足りないしゲームやりゃいいじゃんで済んじゃうからね
この映画はゲーマー達にゲームって素晴らしいよね!った言おうとして思いっきり滑った感じだと思う
今更こんな手垢がついたようなテーマを何のひねりもなくオリキャラに説教させるだなんて。
「わかっとるがな」
「余計なお世話じゃ」
「今更何言ってんだ?」
多分これが僕に近いオタクのあのシーンでの感情だったと思う
「たかがゲームじゃねーか」と言ってくる大人やウェイどもに「わかってねーなテメーら」と言い返す心の強さを身につける儀式は僕らはとっくに終わらせてあるわけなんですよね。
このテーマが悪いわけじゃない。
料理の仕方でいくらでも視聴者を唸らせられるだけの題材ではあったはずなのに、なぜこんな陳腐な表現にしかならなかったのだろう
YOUR STORYなんてタイトル付けたからにはターゲットは当時遊んでいた僕ら既プレイヤーをターゲットにした映画のはずだ。
じゃあなんでこんなことになってんだ?
・・・それは恐らく、僕が陰キャのゲームオタクだからだ。
YOUR STORYは誰の物語だったのか
ドラゴンクエスト5は国民的に愛されたRPGだ。
当然たくさんのいろんな人がプレイしたんだと思う
この映画のターゲットであるYOUとは、もちろんあの時ドラクエを遊んだ人たちの事。
だけど、ドラクエ5既プレイの中でも、僕らみたいな現実かなぐり捨ててゲームに命かけてますみたいなキモオタじゃなくて、ゲームが趣味程度の一般人を監督は想定しているんだと思う。
実際、公式Twitterを見ると根暗オタクの僕から見るとサクラにしか見えない感想ツイートがたくさん出てくる。
泣けた、感動したって彼らにはちゃんと刺さってるんだわ。
実際ドラクエ5ならそっちの割合のほうが大きいと思う。大人気ゲームだからね。
ゲームのやりすぎでゲームとの付き合い方をマスターしてしまった僕とは違い、彼らは大人になれとかあんまり言われてないか、実際言われて大人になった人たちなんだと思う。
だからドラクエを楽しんでいたけどあまり表立って好きだと言えなかったあの頃、みたいなのを重ねて共感ができるんじゃないかな
なので、監督は正しいのだろう
ちゃんと納期内で仕事を完遂させ、話題性をもたせるアレンジを加え、目論見通りに僕たちは騒いでる。
原作ありの映画を撮るたびに色々言われつつもずっと仕事を得続けて、次にはルパンもやる。
つまり監督は正しい。素人ゆえよくわからないけど、少なくとも映画界的には。
僕とドラゴンクエスト
だが、闇のオタクである僕は現実という名の光にすこぶる弱い。
あのミルドラース(仮)が言うように彼らはデータだ。0と1、電気信号の集合体に過ぎない
だが、僕にとって、あの時テレビの中で繰り広げられた冒険は本当の出来事だった。
テレビの中に別世界があって彼らそこで確実に生きていた。
コントローラを握りしめているあの瞬間、僕はパパスの息子でありビアンカの夫であり、勇者の父親なんですわ。
今回、映画を見ている最中の僕もばっこり感情移入しながら見ていた。
だから、世界が色あせて破壊され、現実を突きつけられるあの展開は世界観とリンクした僕の心にダイレクトに刺さった。
割と長年オタクやってるからか僕はかろうじて没入感を保ったままでいられた。
だが若く心の成熟してないオタクの中には大好きなドラクエの思い出ごとすべてを否定されてしまった人もいたのではないだろうか
「たかがゲーム、だけどゲームも人生の一部だよね!ゲーム最高!」
その主張をするためにドラクエの世界を、プレイヤーの思い出を破壊する必要は本当にあったか?
あんな中学生が考えたみたいなオリキャラの敵を用意する必要はあったか?
もうちょっと、なんかできたんじゃないかなぁ?って気持ちがどうしても晴れないんですわ
普通の人からすると「オタク弱すぎるだろ」って感じかもしれないが、物語にどっぷり浸かっていればいるほどダメージが上がるってことなのね。
脛にガムテープ貼って思いっきり剥がして欲しいんだけど、それが1センチか30センチかって話。
まぁ普通の人は脛にガムテープ30センチも貼らないんでやっぱりオタクはマゾだなってなるだけか
それはそれとしてよかったところ
ラストで全部持ってかれたけど良いところはいっぱいあるんですわ
それだけに惜しいというかなんというか
- ゲマ迫真のモデリングと演技。
キモすぎる(褒め言葉)
冒頭で加点式で6点付けましたが、内4点はゲマ絡みです。
実を言うとコレだけでこの映画を観て良かったと言えなくもないレベルだった。おススメです
- BGM
5だけじゃなく天空編の作品を幅広く使ってた。
音が主張しすぎない加減が良くて好印象でした
ただ序曲はちょっと使いすぎかな?って感じはした。
- フローラの演技
ババアモードも同じ声優さんがやってた。
全くわからんかったしすごく上手だった。
- 戦闘シーン
ブオーン戦、ゲマ戦は特に見応えあった。
ドラクエは自キャラ見えないからこういう派手なのが見れないからこういう所は映画と特有の利点だよね
- シナリオの改変具合
正直、見る前はあのクソ長いシナリオを2時間に収めるとか不可能だろとたかをくくっており、実際子供時代のスキップでほれ見たことか!となったんだけどそれ以降は非常に良くできてる。
ドラクエ天空編で天空城の存在丸ごとカットしてマスタードラゴンソロ出演とか中々思い切ったことやったよね。
他にも天空城がなくなったので子供時代に拾うのはゴールドオーブじゃなくてドラゴンオーブだし、結婚イベントにブオーンと天空の剣を全部混ぜ、フローラの魅力を出してビアンカとフラットな立場にしつつ見せ場を持たせてビアンカとくっつけたのは良い演出だった
悪かったところ(例のアレ以外)
例のアレは論外なんでそこ以外で普通に気になった所
- 幼少期
ダイジェストにするのはいいんだけど、幼フローラと幼ビアンカとの思い出はワンカットでいいから3Dでやるべきだったんじゃないかと思った。再会時の誰これ感すごかったもん
正直いうと、今回のシナリオのまとめ方だとヘンリーの存在を全カットしても話が成り立つのでその分を当てて欲しかった感がある
結婚イベントをあれだけ上手に圧縮できたんだからフローラがゲレゲレを庇ってビアンカとお化け退治して、3人でパパスに説教されてる最中にリュカだけ拉致られる位のアレンジしても別にイケると思うわ
- ぬわーーっっ!!
別に演技が悪かった訳じゃないんだけど、「nうわああああ!」って感じだったんで普通の悲鳴だった。
ライバルズのパパスが一番イメージに近くてギャグにならないギリギリを攻めてると思う
あとぬわーっ!したあとまだ息があったこともちょっとマイナスだった。
その後のシーン自体は割と良かったんだけど、断末魔のショックは少し減った。
ぎょえー!しかり、親しい人間の不気味な断末魔は演出として好きだったんだよね。
ぬわーっ後のやり取りを前に持ってきても別に良かったんでない?って思った。ていうか原作はそうだし。
- 街の風景描写が少なすぎる
サンタローズは自宅のみ、ラインハットは城門前のみしか出てこない。
これは、まぁ予算の関係なんだろうなあ
- ルドマンが別人
原作が裏を勘ぐるレベルで善人なのでどっちかというとこちらの方がリアルではあるんだけどね。
あそこはシナリオ上まぁそうなるわな、って感じで仕方ない所ではあるんだけど客に気まずさを感じさせてしまうシーンだった。難しいところ
「ビアンカさんを選んだとしても結婚式はワシに任せなさい!」って言ってくれたルドマンさんはもういないんや・・・
未来へ
今日はこの辺で。
色々言いたいことはあるけども
やっぱり個人的には名作だけどクッソ長いあの世界をカジュアルに楽しんでもらえる作品になってほしかった、というのが正直なところです。
あとはアレだな、同じ脚本だったとしてもラストをもうちょいうまくやってくれたら「タダでさえ影が薄いのにオリキャラに役を奪われたラスボス」っていう笑い話ができたんだよなぁ